俺たちに明日はない、こともない。

こっちと向こうと今と昔と。

カンチャナブリ―へ 18

まだ歩いて行ってはいなかったその通り。

今覚えている限りでいうと

タムクラセーから戻ってきて降りたクウェー川鉄橋駅の

進行方向右側、後ろの方で橋に近い方で駅から遠ざかる方向に

伸びている道である。

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この道が運命を変えた!か。

 

しばらく前にざっと眺め渡したときには誰ひとり見えなかった

ようだったが。

歩いているとものの30秒も経たないうちにバイクが1台とまっている

のが目にとまる。

と同時にヘルメットをかぶりサングラスをかけたおっちゃんが近づいて

くる。

うっそみたい!

この機会を逃してなるものか!

 

私「ヤーク・パイ・サタニ―・コンソン・カンチャナブリ―」
 (カンチャナブリ―のバスターミナルに行きたいです。)

おっちゃん「バンコク?」

私「イエス。サタニ―・コンソン・モーチット。」
 (はい、モーチットのバスターミナルへ行きたいです。)

ちょっとこのときのやり取りの記憶は今となっては定かではないのだが

この時点で

カンチャナブリ―のバスターミナルへ行きたいということだけではなくて

そこから(勿論バスで)

バンコクのモーチットのバスターミナルまで行きたいということを

説明したはずである。

ご承知のとおりバンコクには北と南に主要なバスターミナルがあるそうだが

私は北バスターミナル(モーチット・マイ、あるいはモーチット2

ともいうらしい。南バスターミナルはサイ・タイ・マイだとか)

に行ってもらった方が都合がよかった。

私「ラーカー・タオライ・カッ(プ)?」
 (いくらですか?)

おっちゃん「○△×・・・」

と言って指を5本出す。

50バーツか!80バーツまでなら良心的だとどこかでみたような記憶が

あったので(私の記憶はあまりあてにならないが)即決だ。

(このときの状況だったら100バーツでもOKしていただろう。)

交渉成立!

これでカンチャナブリ―まで行ける!

おっちゃんがバイクのエンジンをかける。

よっしゃ!

とテンションが上がったのも束の間、ここではたと気づく。

ずっと荷台にシートがあるあの車(ソンテウ)。

あれに乗ることしか想定していなかったのだ。

自慢ではないが

生まれてこの方

バイクの後ろに乗って走ったことは一度もなかった。

とにかくおっちゃんの後ろにまたがりはしたが

あらら、困った。

どこつかまるんだ!足はどうするんだ!

今しも走り出しそうなおっちゃんにあわてて

「ストーップ!ストップ!あー、うー
 ハウ、ハウ・ツー!」

殆ど叫んでいるがきっと意味不明だろう。

無意識のうちに周囲に助けを求めるようにあたりを見回している自分。

ふと気付くとちょっと離れたところのイスに座ったおばちゃんがこちらを

見て手を叩いて笑っている。そして両腕を前にまわして掴まる仕草をして見せてくれ

る(こういうところ優しいよね)。

そうか、おっちゃんにしがみついていいのか。

もう、なりふり構っていられない。

ガシッ、とホールド。

「OK!」

即座にバイクは発進。途端にからだが加速度を感知。すぐさま腕と足に自然と力がこも

る。

風景が後ろへ後ろへ移動し始めるや否やからだの外側から中の方にまでへ風が吹寄せて

くる。

 

しばし恍惚。

 

でも、

ちょっと、ちょっと、

俺 ヘルメットなしか!